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2010.08.25.―復讐劇の面白さ(ネタバレわずかにあり)―

 うみねこの新作をやっておるのですが、私、犯人の過去篇に突入してから非常に感心した次第でございます。 すなわち復讐劇の面白さ……というものをここまでさり気なく描いてしまう竜騎士さんの、人間の負の感情に対する共感力、ここに私はひぐらし以来の竜騎士さんの才能の方向性を感じた次第でございます。

 犯人の過去篇では、魔女ベアトリーチェという妄想を自身の手によって具象化していく犯人の行動が描かれているように思われます(まだ途中なので詳細は不明でございますが)。魔女ベアトリーチェは自分の妄想ではない。実際に魔女ベアトリーチェは存在している。なぜならば、自分はこれこれこういう目にあったし、あの人もこれこれこういう目にあったと言っている。
 犯人自身、魔女ベアトリーチェの存在を信じておりますので、自分が引き起こした現象さえ魔女の仕業となってしまいます。また、犯人は魔女の存在を周知させるために無自覚に他者を陥れ、その他者がうけた被害を「魔女の仕業」として信じ込む傾向があるようです。
 しかしその際の犯人の具体的行動は作中ではとくに描かれておりません。犯人が「魔女」の仕業としておそらくやったであろう精神的にプレッシャーをあたえる陰湿なトリックの数々を、被害者が

「魔女だ、あれは魔女がやったんだ!」

 と戦々恐々と語るのですが、その語り口のうちに裏で暗躍する犯人の妄執、精神的異常性みたいなものをつくづくと再発見することができ、そうして

「ヤスはやばい」

 ということを読者は思わざるをえない……ということでございます。
 いわば一般的な文脈が通用しない場に立たされたときの本能的恐怖でございましょうか。こいつだったら「魔女」の仕業として人殺しでもやりかねない、ということを思ってしまうのでございます。
 まさに一刻も早く入院させて、統合失調症の投薬治療をさせなければならない、と恥ずかしながら思ってしまいました。


 そういうわけで、意外に面白いということを今のところ感想のひとつとして胸に留めておる次第でございます。
 以上、解散!
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